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2012年9月25日
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《経済》 メガソーラー建設地 迅速に事業計画

 原子力に替わるエネルギーの確立が国家的な課題となる中、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設地として、浜松市内に点在する養鰻(ようまん)池の跡地が注目を集めている。既に複数の企業が市内の養鰻池跡にメガソーラーの建設を決めたほか、建設を検討中の企業もあるという。注目の背景を探った。
 ■緩い規制
 今月、不動産開発のアサヒコーポレーション(浜松市中区)や、日本ガスコム(愛知県豊橋市)が、相次いでメガソーラーの建設を発表した。建設場所はいずれも浜松市内の養鰻池の跡地だ。
 「市街化調整区域で工場は建てられない。観光施設なども今の経済環境では難しい。メガソーラーはまさにうってつけの用途だ」。アサヒコーポの担当者は、養鰻池跡を選んだ理由をこう語る。
 土地の種目で「池沼(ちしょう)」に当たる養鰻池は、複雑な転用手続きが要らない。一方、農地や山林は、安易な転用を防ぐ規制が高いハードルとなり、「メガソーラーの建設はほとんどできないのが実情」(浜松市新エネルギー推進事業本部)という。
 ■豊富な跡地
 同市などの浜名湖周辺では、養鰻技術が確立した明治末期以降、次々と養鰻池が造られた。紡績業が盛んで、ウナギの餌になるカイコを容易に入手できた地の利が、養鰻の発展を後押しした。
 県西部地域しんきん経済研究所によると、昭和四十年代には千三百八十二ヘクタールの池が広がっていたという。しかし、一九八〇年代に生産量全国トップの座を退き、九州産や台湾産などに押されて養鰻池も減っていった。
 市新エネルギー推進事業本部の担当者は、「浜名湖周辺や浜北区の一部には、養鰻池を埋めて遊休地となっている場所がたくさんある」と説明する。
 昨年の東日本大震災以降、沿岸部の養鰻池跡については「利用のめどがまったく立たない」(金融機関)といい、地主も「メガソーラーに関心を寄せている」(同)という。
 ■長い日照時間
 利点は、まだある。「日本のカリフォルニア」ともいわれる気象条件だ。今年一月に気象庁が発表した昨年の全国の気候データによると、浜松市の年間日照時間は二千三百二時間で首位。全国平均より一割以上長かった。
 メガソーラーに関する相談に応じている浜松信用金庫の津倉昭彦・法人営業部副部長は「養鰻池跡をはじめ広い土地が豊富にあり、同じ投資額で売電収入が一割以上多いとなれば、事業者が浜松に目を向けるのは必至だ」と指摘する。
 太陽光発電で一キロワット時当たり四十二円の固定価格買い取り制度は、来年三月までに電力会社と契約することが条件だ。津倉副部長は「手続きを考えると十月が決断のタイムリミット」とみる。養鰻池跡のメガソーラーはさらに増えるか。可能性は十分にありそうだ。

(記事:中日新聞)

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