
メガソーラー着々 鹿沼で県有地にパネル7000枚整備
地球温暖化対策として県が進めている「とちぎサンシャインプロジェクト」に基づくメガソーラー(大規模太陽光発電所)の整備が栃木県内で進んでいる。鹿沼市の県有地で建設を進めている藤井産業(宇都宮市)では11月下旬の運用開始を目指す。県内各地でもメガソーラー整備計画が進むが、40カ所で発電事業者を募集中。事業者への普及が課題となる。
●意外な敵、雑草
鹿沼市磯町の農業試験場鹿沼農場跡地。藤井産業が「鹿沼ソーラーファーム」として2・3ヘクタールの敷地に太陽光パネルを設置している。7137枚を整備し、年間、一般家庭の約490戸分に相当する約180万キロワット時を発電する計画だ。二酸化炭素の削減量は年間約610トンと推定。1キロワット時42円で東京電力に売電する一方、敷地内に非常用電源として使える蓄電システムを整備し、災害時に近隣地域に電気を供給できるよう一部電力を蓄えるとしている。
既に計画のほぼ半分となる約3500枚のパネルを設置。工事は順調に進んでいるが、大久保知宏総務部長は「今後は雑草対策が課題になる」と話す。大久保部長によると、跡地は県から有償で借りているが、契約終了時には農地として利用できる状態で返さなければならない。このため、コンクリートなどは敷かず、除草した土の中に杭を打ち込み、その上にパネルを整備している。雑草が伸びるとネズミなどの小動物が集まる上、枯れた雑草は燃えやすくなる。出火すればパネルや電気ケーブルを損傷する可能性もあり、今後、宇都宮大農学部と連携しながら雑草対策を検討する。
●事業者募集40カ所
県地球温暖化対策課によると、県内63カ所のメガソーラー候補地の中、10カ所で発電事業者が決定。12カ所で土地所有者と企業が協議を進めている。残る41カ所のうち保留1カ所を除いて事業者を募集中だ。県は平成22年で約2万9千キロワットだった太陽光発電設備の導入量を10年後に20倍とする目標を立てている。
補助金や余った電力を買い取る制度の普及で、一般家庭での太陽光発電の導入が進み、県内では約2万5千戸が利用する。一方、事業者への普及は採算面などから十分でない。同課は「空いている土地を有効活用するメガソーラーを進めながら、事業者に太陽光発電の利用を呼びかけていきたい」としている。
(記事:産経ニュース)