過熱するソーラー市場、政策依存脱却へ正念場
国内の太陽光発電10+ 件ビジネスが過熱している。7月に始まった支援制度での好条件を受けて、大規模太陽光発電10+ 件所(メガソーラー)計画も目白押しで、太陽電池メーカーの業況も改善している。
ただ現在の活況は再生可能エネルギー促進政策が誘発したバブルとの見方もあり、持続性を疑問視する声も聞かれる。ソーラー産業には発電コストの低減による政策依存体質からの早期脱却が求められている。
<ブーム到来、メガソーラー>
各メーカーの事業責任者や経営トップは久しぶりの好景気に声を弾ませる。「好調な状態が急速に立ち上がっている。継続的にフル稼働が見込めるのは3年ぶり」(三菱電機(6503.T: 株価, ニュース, レポート)の朝日宣雄・太陽光発電10+ 件システム計画部長)、「第1・四半期の対前年出荷量は2倍。国内生産量はマックスだ」(パナソニック(6752.T: 株価, ニュース, レポート)グループエナジー社の吉田和弘副社長)、「(需要は)想定以上」(昭和シェル石油(5002.T: 株価, ニュース, レポート)子会社ソーラーフロンティアの亀田繁明社長)――。
牽引するのは7月に始まった再エネの固定価格買い取り制度(FIT)だ。太陽光や風力など再エネによる電気の全量を国が定める価格で長期間買い取ることを電力会社に義務づける。最初の3年間は再エネ設備の設置者の利潤に特に配慮することが法律で定められており、初年度の太陽光の買い取り価格 (出力10キロワット以上、20年間) は1キロワット時当たり42円と、一般家庭向けの料金の1.8倍の水準に設定された。
経済産業省によると9月末時点で認定されたメガソーラー(出力1000キロワット以上)は218件。地方自治体が遊休地を活用してもらおうと企業を誘致し、企業側も42円という破格の買い取り価格にひかれて相次ぎ参入している。ゴールドマン・サックス証券アナリストの渡辺崇氏はメガソーラーは「リスクが低い割にはリターンが高く、不動産よりもリスクが低い金融商品」と位置付ける。
メガソーラー計画に顔を出すのは、ソフトバンク(9984.T: 株価, ニュース, レポート)、丸紅(8002.T: 株価, ニュース, レポート)、三井化学(4183.T: 株価, ニュース, レポート)、近畿日本鉄道(9041.T: 株価, ニュース, レポート)、オリックス(8591.T: 株価, ニュース, レポート)など多彩だ。立地では北海道、鹿児島県、福岡県、鳥取県、山口県などが上位を占める。「全事業会社、全地方自治体がメガソーラーの設置や土地の貸し出しを検討しているといっても過言ではない」(渡辺氏)状況で、地方活性化の起爆剤になるとの期待もある。ただ「政府公認の利回り保証」の原資は国民負担によるもので、持続性に不安も漂う。
(記事:ロイター)

