安田町がメガソーラー
安田町と電気設備会社「荒川電工」(高知市)は5日、共同出資会社を設立して大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設する協定を結んだ。メガソーラーの建設は県内3か所で進んでおり、同町が4か所目。自治体と企業の共同出資による事業は初めてで、来年3月に送電を開始するという。(中西康彦)
計画によると、メガソーラーの年間発電量は120万キロ・ワット時(一般家庭の300世帯分)で、同町の「北大野工業団地」(1万7200平方メートル)に約3億円で整備する。今月中にも資本金1000万円の会社を設立し、町は4割を負担。12月の着工を目指す。
同団地の企業誘致が難航していた同町と、メガソーラーの建設実績を伸ばしたい同社の意向が一致。会社は四国電力への売電収入で経営し、町には出資に応じた配当金と土地の賃料、法人税などが入る。契約は20年間で、町は総額1億3500万円の収入を見込む。
協定の調印式は同町安田の「安田まちなみ交流館和(なごみ)」であり、有岡正幹町長は「自然エネルギーを町の発展につなげたい」とし、荒川電工の荒川浩一社長は「自治体との連携は資金調達の面でもメリットがあり、お互いに有効。“安田方式”としてモデルになるような事業にしたい」と意欲を見せた。
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県新エネルギー推進課によると、メガソーラーの建設は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まった7月以降に活発化。今年度、太陽光発電は1キロ・ワット時あたり42円と高めに設定されており、今後の価格低下をにらんだ「駆け込み建設」が進んだとみている。
荒川電工は、県内初のメガソーラー施設として、高知市瀬戸のゴルフ場跡地に年間発電量200万キロ・ワット時の設備を年内にも完成させる予定。このほかヤイロ商事(高知市)は芸西村に同160万キロ・ワット時、四電工(高松市)は安芸市に260万キロ・ワット時の設備を計画し、それぞれ来年4月、12月の発電開始を目指している。
■宿毛市、法抵触で計画中止
一方、宿毛市は、市総合運動公園(山奈町芳奈)に計画していたメガソーラー建設を断念した。発電施設が都市公園法違反になることがわかり、市は10月1日に開始した事業者の募集を停止。「関係法令を確認しなかった初歩的ミス。申し訳ない」と陳謝している。
市によると、県や民間企業などでつくるこうち再生可能エネルギー事業化検討協議会が1月、同公園を建設候補地の一つに選定。斜面の約2ヘクタールを予定地とし、2013年度の稼働を目指し、7月には事業者向けの説明会も開いた。
しかし、募集要項を市のホームページに掲載した直後、県公園下水道課から「園内には公園関連施設しか建設できず、売電目的の発電施設は違法」と指摘されたという。市は「メガソーラーは環境に良いはずだが、法律に抵触するなら諦めるしかない」としている。
(記事:読売新聞)

