温室暖房に太陽光発電を
農業経営の安定を目指し、県はメロンやイチゴなど施設園芸への太陽光発電の導入呼び掛けに力を入れ始めた。太陽光パネル設置に農地転用の許可が必要などハードルは残るが、東京電力福島第一原発事故をきっかけに脚光を浴びる再生可能エネルギーを広く活用する狙いもある。
県みかん園芸課によると、昨年十一月から一年間、御前崎市のメロン農家の協力で太陽光発電の導入実験をした。冬季に暖房を使う温室二棟(約三百平方メートル)の近くに、約二百十平方メートルの太陽光パネルを設置。その結果、年間の発電量は四万六千九百八十二キロワット時、消費量は四万七千八百三十一キロワット時となり、必要な電力量の98%を賄えたという。
冷暖房で多量の重油を使う施設園芸にとって、重油の高騰は経営を圧迫する悩みの種。一リットル当たり三十円ほどだった価格は、二〇〇八年ごろから八十円に跳ね上がっている。
そこで県は、電力の固定買い取り制度を追い風に、重油に代わり太陽光発電を導入するよう提唱。経営の安定につながるとともに、エネルギーの地産地消に貢献すると呼びかけている。特に日照時間の長い浜松市や御前崎市、静岡市などが適地という。
課題となるのは、設置の許可。太陽光パネルの設置は農地の転用に当たるため、市町農業委員会の許可が必要となる。許可の明確な基準は、来年三月末までに国から示される見込みという。
静岡市駿河区の県農業会館で二日にあった県主催の研修会で、県の担当者は、約百人の施設園芸農業者を前に「予想通り、ほぼ使用する分を発電できた。ぜひ導入を検討してほしい」と訴えた。
(記事:中日新聞)

