【2014年版】定置用蓄電池の補助金制度を徹底解説

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蓄電池が注目される理由

 2011年の東日本大震災を受け、国内のエネルギー事情は大きな転換期を迎えている。とりわけ、電力需給については未だ逼迫した状況が続いており、今後も恒久的に続くとなれば電力供給のコスト上昇や設備利用率の低下といった影響は避けられない。

 この電力需給問題を緩和させるためには、需要家レベルでのピークシフト・省エネといった取り組みが必要不可欠になると言えるだろう。これらを容易に実現する技術として、現在大きな注目を集めているのが定置用リチウムイオン蓄電池だ。

 電力消費量が日中の約半分になる夜間のうちに蓄電しピーク時間帯に放電する、というのが蓄電池の基本的な運用法となる。太陽光発電システムやコージェネレーションシステムと組み合わせた場合は、更に協力な効果が得られるだろう。

 効率的な電力利用を実現する蓄電システムの導入は、社会的にも意義のあることといっても過言ではない。そういった背景から、経済産業省は定置用リチウムイオン蓄電池を導入する者を対象とした補助金事業を2014年3月17日より開始すると発表した。

 現在の蓄電池の市場価格は1kWhあたり20~30万円と高額だが、補助金を活用することで大幅に安く導入できる。本記事では、2014年度の蓄電池補助金について解説していく。

新制度の概要

 平成25年度補正 定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業費補助金(以下、新制度)の概要は以下の通り。

事業名
平成25年度補正 定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業費補助金
事業目的
電力需給対策の一環として、一般家庭及び事業所等で定置用リチウムイオン蓄電池(以下、蓄電システム)の導入に際し、設置する機器及び付帯設備費用を補助し、電力使用の合理化の取り組みを促進すること
補助対象機器
一般社団法人環境共創イニシアチブ(以下、SII)が補助対象機器として認めたリチウムイオン蓄電システム
補助対象者
個人事業主含む個人と法人
(リース等により設置する場合は、所有権者となる事業者と共同で申請してください。)
補助額
蓄電システム購入金額と、機器毎に定められた目標価格との差額の2/3以内
補助上限額
【個人・法人】1住宅あたり上限100万円
【法人】1事業所当り上限1億円
補助金申請方法
『予約申請』と『交付申請』の2段階
申請受付期間
1.予約申請受付期間 : 平成26年3月17日(月)~平成26年12月31日(水)(必着)
2.予約申請受付期間 : 平成26年3月17日(月)~平成27年1月31日(土)(必着)
各申請の締切日は後日発表するとのこと。
補助事業費総額(予算)
100億円

前制度からの変更点

 新制度は、実質的に「平成23年度定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業補助金」(以下、前制度)に代わるもので、共通している部分も多い。そのため、ここでは主に前制度から変更があった箇所について解説していく。

補助対象機器は新たに登録される

 新制度からは、新たに「基準価格(A値)」や「目標価格(B値)」という値が機器毎に設定されるため、補助対象機器は登録され直されている(前制度で補助対象機器として登録された機器は全て白紙になっている)。

 現在のところは一次公募で申請された機器しか登録されていないが、今後徐々に追加される予定だ。補助対象機器については、SIIの「補助対象機器一覧」ページから確認できる。

補助金額の算定方法

 新制度では、前述した基準価格(A値)と目標価格(B値)をもとに補助金額を算出する。

 基準価格(A値)とは現在の市場価格などを考慮して設定された価格のことで、製品ごとに値は異なる。基礎(システム・筐体等)となる25万円(固定)に、容量に20万円を乗算した金額と付加機能に応じた金額を加算することで求められる。

 付加機能とはよりピークコントロールに資すると評価された以下の4つの機能のことで、それぞれの機能に応じて金額が加算される。

付加機能 金額 審査基準
系統連系等 10万円 カタログあるいは取扱説明書などに、系統連系可能である旨が明記されていること。
系統連系可能である旨の明記がない場合は、系統運転と蓄電池運転の切換時間が10ms以下であり、かつ、任意の時間にタイマー、通信制御のいずれかにより充放電を行う機能を有していること。
太陽光発電システム連系 10万円 太陽電池用直流入力端子、太陽電池用交流入力端子、または太陽電池出力状態を監視する機能がある。
高サイクル耐久性 10万円 2000回繰り返し充放電を行った後の容量が、定格容量の80パーセント以上である。
ECHONET Lite対応 5万円 ECHONET Lite規格に準拠し、かつ、接続可能なHEMS機器がカタログ、パンフレット等に記載されている。

 一方で、目標価格(B値)とは価格低減を目的に設定された価格のことで、基礎(システム・筐体等)となる10万円(固定)に、容量に8万円を乗算した金額を加算することで求められる。

 新制度では、蓄電システム金額と目標価格(B値)との差額が補助対象経費となり、蓄電システムの購入金額が基準価格に対してどれだけ高いか、または安いかによって異なった補助率が適用される点に注意されたい。適用される補助率は以下の3パターン。

  • (1)購入額がA値を上回る場合、補助対象経費の1/3
  • (2)購入額がA値と同等もしくは下回る場合、補助対象経費の2/3
  • (3)購入額がA値を下回り、かつ補助額が購入額の1/3を下回る場合、購入額の1/3を上限とする

 購入金額に応じて、以下の図のように補助率が適用されると考えられる。

蓄電池補助金 - 補助率の考え方

 では、A社の蓄電システムを購入すると仮定した場合の補助金額をシミュレーションしてみよう。

蓄電池補助金のシミュレーション

 シミュレーションでは、実質の負担割合が(1)で78パーセント、(2)で63パーセント、(3)で67パーセントという結果になり、基準価格と購入金額が同等、または少し下回った場合に最も大きなインセンティブを得られるということがわかった。この手法はJ-PECの「住宅用太陽光発電導入支援補助金」と同様に、販売者側に安く販売させることで市場価格の低減を促す狙いがあると言えるだろう。

 補助率・補助額の計算については、SIIの提供する「補助額計算書」(PDF)を利用すると良い。計算後は「補助額計算機能」を利用し、間違いがないかを重ねてチェックしよう。

 なお、予約申請後に購入金額の変更に伴う補助額の増額を希望する場合は、「予約申請取下げ届出書」を提出して再度申請を行う必要がある(※増額を希望しない場合は必要ない)。

補助事業費総額

 前制度の補助事業費(予算)は210億円で、事業期間が短縮された影響などもあり、予算のうち54億円は国庫に返還された。今年度の予算は、2014年度の概算要求で盛り込まれた130億円からマイナス30億円ダウンの100億円となっており、交付件数は2万件程度になると想定している。

申請書類はSII指定の様式で

 予約申請や交付申請のスキームについては、前制度からの大きな変更点はない。ただし、共同申請を行う際のリース料金見積書や交付申請時に必要となる領収金額内訳書など、いくつかの書類では必ずSII指定の様式を使用するように定められた。予めSIIの「補助金の申請」ページで確認、ダウンロードしておくことが望ましい。

補助金申請に際しての注意点

 SIIは公募説明会において、申請に際しては申請内容に不備がないかのチェックをしっかり行ってから申請するよう呼びかけた。SIIによると、前制度では補助額の計算間違いが頻出していたほか、蓄電システムの設置写真や銘板写真についても不備が多く、これらが原因となって事業の遂行に影響が及んでいたという。

 また、申請状況(予算など)を正確にモニタリングするためにも、スムーズに手続きを行うようにとの指摘もあった。実際に、設置工事が完了していても長期間交付申請を行わない、予約申請をしたが契約・購入を行わないまま放置しているといった申請者が多く見られたとし、そのような状況が続くと予算に大きな過不足が生じる可能性があり、適正な事業の執行に影響が出ていたという。

 太陽光発電の補助金と同様に、企業(販売者)が申請を代行するケースが多くなると考えられるが、度々手続きを滞らせる企業については申請を拒否するなどの対応も辞さないとしているため、注意されたい。

補助対象製品の一覧

  • ※表記価格はすべて税抜価格です。
  • ※A この該当製品の型番は、複数機器を対象としています。
  • ※B この製品は現在、生産終了となっています。

参考資料