【2014年10月版】最大のリスクは連系にアリ 各電力会社の接続状況について

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太陽光発電に関するPVN24独自のニュースを特集記事として配信!

経済産業省によると、固定価格買取制度の運用が開始してから(2012年7月~2014年3月末)の産業用太陽光発電システムの導入量は、運用開始前の累積導入量(2012年6月末まで)の約7倍となる643.5万キロワットとなった。これほどまでに太陽光発電システムの導入量が飛躍した背景には、その採算性が固定価格買取制度によって裏付けられたことがあげられる。機器の性能や信頼性も向上しており、太陽光発電のリスクは異常気象や災害くらいだったこと、固定価格買取制度に加えて政府や自治体の後押しがあったこともあり、この3年間で太陽光発電設備は急速に普及することとなった。

しかし、太陽光発電システムが増えすぎた現在になって、最も致命的な問題が浮き彫りとなってきた。系統連系である。接続される発電設備の容量が系統内の電力需要量を上回ることは、電力品質へ影響を及ぼさないためにも避けなければならない。昨年度時点でその徴候は見えていたが、ついに電力会社による連系申込みの回答保留が相次いで発表されることとなった。

本記事では、回答保留を発表した各電力会社管内における状況と、今後の対応策について現時点で発表されている内容を取りまとめる。

各電力会社が連系申込みの回答保留を発表するまでの時系列

広大な土地を比較的安い価格で調達できる北海道では、固定価格買取制度の開始以降メガソーラーの立地が相次いだ。連系拒否・容量制限・出力抑制といったリスクは、昨年4月17日の発表によって初めて認識されることとなる。また、もとより系統内における需要が少ない沖縄本島や九州電力管内の離島などについても、早い段階から接続量の上限を超過する兆しは見えていたと言える。

2013年04月17日
北海道電力が、500キロワット以上の太陽光発電設備による接続量が限界に近づきつつあるとし、(1)接続可能量拡大のための特定地域に限った接続条件の改正、(2)大型蓄電池の変電所への導入による受け入れ枠の拡大、(3)電力システム改革に則った広域系統運用の拡大といった対策をとると発表。
2013年12月3日
沖縄電力が、300キロワット以上の太陽光発電設備による接続量が限界に近づきつつあるとし、(1)大型蓄電池の設置による接続可能量の拡大、(2)接続可能量拡大に向けた送電網実証事業の実施といった対応策を発表。
2014年07月25日
九州電力が、壱岐・対馬・種子島・徳之島・沖永良部島・与論島において電気の供給量が島の需要量を上回る可能性がでてきたため、新規の再エネの事前相談・事前検討・接続契約申込み(家庭用など低圧連系を含みます)に対する回答を1年程度保留すると発表。
2014年07月31日
沖縄電力が、300キロワット未満の太陽光発電設備の接続量が接続可能量を超過するそれがあるとし、2014年4月1日以降の接続申込みについては回答を保留すると発表。
2014年09月24日
九州電力が、2014年7月末現在の申込み量が全て接続された場合太陽光・風力の接続量が約1,260万キロワットに達するとし、10キロワット未満システム(住宅用等)を除く全ての設備について数ヶ月間回答を保留すると発表。
2014年09月30日
北海道電力が、管内における太陽光発電設備の認定容量が2014年5月末現在で管内の最小需要値を上回ったことから、10キロワット未満の設備および年間30日を超えて出力抑制をした場合にも補償をしないことを承諾した500キロワット以上の設備を除き、北海道電力管内における10月1日以降に行われた新規の接続申込みについては数ヶ月間回答を保留すると発表。
2014年09月30日
東北電力が、管内における太陽光発電設備の認定容量が2014年5月末現在で管内の最小需要地を上回る見込みであることから、2014年10月1日以降に受付された10キロワット未満システム(住宅用等)を除く全ての設備について数ヶ月間回答を保留すると発表。
2014年9月30日
関西電力が、四国電力の発表を受け、四国電力の送電系統から送られてきた電気を供給している淡路島南部地域における新規接続申込みについての回答を10月1日以降一時的に回答を保留すると発表。
2014年9月30日
四国電力が、管内における太陽光発電設備の認定容量が2014年8月末現在で約190万キロワットに達し、管内における需要量を上回るおそれが出てきたことから、2014年10月1日以降に受付された10キロワット未満システム(住宅用等)を除く全ての設備について数ヶ月間回答を保留すると発表。
2014年09月30日
沖縄電力が、2014年8月7日までに受付済みの300キロワット未満の申込みについては接続できる見込みだが、設備量が接続可能量の上限310メガワット程度を超過したことから、2014年8月8日以降の再エネ接続申込については接続が不可能な状況と発表。予め指定されている対応策を講じることで、接続の検討を行うとしている。

各電力会社の状況と対応について

北海道電力

2013年4月17日、500キロワット以上の太陽光発電設備による接続量が限界に近づきつつあると発表した。再生可能エネルギー特別措置法では、年間30日を超えて出力抑制を事業者に依頼する場合、電力会社が金銭で補償するようにと定められているが、接続量が限界に達した地域では金銭補償を不要とする例外規定を追加することで受け入れを進める運びとなった。

しかし、2014年5月末時点で北海道内における太陽光発電設備の認定容量が同社系統の最小需要(270万キロワット程度)を上回る300万キロワット程度にまで達したとし、500キロワット未満の設備については認定容量が80万キロワット程度まで達していることから、このまま受け入れを継続することは困難との発表が行われた。

そのため、低圧10キロワット未満設備および年間30日を超えて出力抑制をした場合にも補償をしないことを承諾した500キロワット以上の設備を除き、北海道電力管内における10月1日以降に行われた新規の接続申込みについては数ヶ月間回答を保留するとした。なお、回答保留期間中においても、系統連系を検討している事業者が必要に応じて電力を系統に流れないように、蓄電池の併設や発電電力の出力調整等の対策を実際する場合には、個別に協議するとしている。現在のところ、回答保留期間中におけるその他の詳しい動きなどについては説明されていない。

当社への再生可能エネルギー発電設備の系統連系申込みに対する回答保留について

東北電力

2014年5月末時点で管内の太陽光発電設備の認定容量が1,000万キロワットを超え、200万キロワットまで受付可能としている風力発電と合わせると1,200万キロワットもの規模になるとしており、この数値は東北電力管内の軽負荷期の昼間の需要970万キロワットを300万キロワットも上回っていることから、このまま受け入れを継続することは困難と発表。

そのため、2014年10月1日以降に新規接続申込みされる10キロワット未満設備を除く全ての再エネ設備の接続に関して、数ヶ月間回答を保留するとした。保留期間中には、再エネ設備の受入可能性や今後の受付方法等について詳細に検討を進めていくとしている。なお、連系に関する申込みの受付については、これまでどおり継続する。

東北電力は今後、「西仙台変電所での大型蓄電池システム実証事業」や「風力の導入拡大に向けた東京電力との連系線を活用した実証試験」などにより、引き続き再生可能エネルギーの導入拡大に向けて最大限の取り組みを行っていくとしている。

系統への再生可能エネルギー発電設備の連系申込み(特別高圧・高圧連系)に対する回答の保留について

関西電力

四国電力の発表を受け、四国電力の送電系統から送られてきた電気を供給している淡路島南部地域における、10月1日以降に行われた10キロワット未満の設備を除く全ての設備の新規接続申込みについて、一時的に回答を保留すると発表した。

また、公表時期は不明だが、和歌山県(新宮市・田辺市本宮町・東牟婁郡・西牟婁郡すさみ町の一部)、奈良県(吉野郡上北山村の一部・吉野郡下北山村・吉野郡十津川村の一部)、三重県(熊野市の一部・南牟婁郡)においても連系制約がかかっており、これらの地域では10キロワット以上の全ての設備が連系不可能となっている。

淡路島南部地域における再生可能エネルギー発電設備の連系制約が発生する可能性のあるエリア
和歌山県ほかにおける発電設備の連系制約エリアについて

四国電力

2014年8月末時点で管内の太陽光発電設備の認定容量が190万キロワットを超え、60万キロワットまで受付可能としている風力発電と合わせると250万キロワットもの規模になるとしており、この数値は管内の軽負荷期の昼間の需要250万キロワットと同程度になる見込みであることから、このまま受け入れを継続することは困難と発表。

そのため、再エネ設備の接続可能量について自社発電設備等の運用方法や導入拡大策などを検討し結果を取りまとめるまでの間、10月1日以降に新規に接続申込みされる10キロワット未満の設備を除く全ての再エネ設備の接続について回答を保留するとした(融通送電を行っている淡路島南部の一部の地域も含む)。なお、連系に関する申込みの受付についてはこれまでどおり継続するとしている。

回答を保留した申込みについては、検討結果を取りまとめた後に順次回答していくとしているが、状況によっては接続できない可能性もあるため、予め注意を呼びかけている。

再生可能エネルギー発電設備に対する契約申込みの取扱いについて

九州電力

系統の規模自体が小さく元々の需要が少ない離島では、2014年7月時点で接続量の限界が近づいていた。九州電力はこれに対し、低圧設備を含む全ての再エネ設備の事前相談・事前検討・接続申込みの回答を1年程度保留すると発表している。

また、2014年9月24日には、九州本島における太陽光発電設備・風力発電設備の申込み量が2014年7月末時点で1,260万キロワットに達するとし、この数値は管内の軽負荷期の昼間の需要800万キロワットを大きく上回る規模であることから、このまま受け入れを継続することは困難と発表した。

そのため、2014年9月25日以降に新規接続申込みされる10キロワット未満設備を除く全ての再エネ設備の接続に関して、数ヶ月間回答を保留するとした。期間中は事前相談・事前検討・接続申込みも全て保留の対象となる。なお、回答保留期間中においても、系統連系を検討している事業者が必要に応じて電力を系統に流れないように、蓄電池の併設や発電電力の出力調整等の対策を実際する場合には、個別に協議するとしている。

離島の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について
九州本土の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について

沖縄電力

2013年12月3日に、300キロワット以上の太陽光発電設備の接続量が限界に達しつつあることを発表。そして2014年9月30日には、2014年8月7日までに申込みされた300キロワット未満の設備については接続できる見込みであるが、8月8日以降の接続申込み分については接続不可能としている。

ただし、2014年7月31日に公表した対応策を事業者が実施した場合については、別途個別に相談に応じるとしている。対応策は以下の2つ。

  • 特定期間の太陽光発電停止による追加的な接続の調整(接続量上限 : 19メガワット)
    電力需給のバランスが厳しくなる2月から4月の3ヶ月間において太陽光発電の出力を抑制する対応
  • 太陽光発電設備側での蓄電池設置による追加的な接続の調整(接続量上限 : 59メガワット)
    太陽光発電設備に蓄電池を併設し、日中は発電した電力を全量蓄電池へ充電し、18時頃~25時頃の時間帯に放電をする対応

沖縄本島における太陽光発電の接続についての対応を公表します
沖縄本島における再生可能エネルギー接続について
沖縄本島における再生可能エネルギーの接続について

回答保留による影響について

数ヶ月間の保留による影響は、売電事業を計画している発電事業者だけでなく、太陽光発電システムの販売店や施工店、土地貸し・屋根貸し事業を推進している自治体、自宅や建物に10キロワット以上の設備を導入するエンドユーザーにまで及ぶと考えられる。計画の見直しや変更が求められるのは間違いなく、影響が深刻化する可能性も十分に考えられるため、慎重な検討が必要だ。

電力会社の発表を、太陽光発電事業を行っているいくつかの企業が情報開示を行っている。福岡県福岡市に本社を置く株式会社サニックスは、九州電力管内において施工ができなくなる影響を受けることは避けられないとし、九州管内で活動している人材を全国の他地区に振り向けることなどの様々な対応を検討する他、今後の事業計画についても人員採用計画や広告宣伝計画、出店計画などを見直し、九州電力による回答保留の影響を最小限に抑えるよう取り組んでいくと発表している(サニックス – 九州における産業用太陽光発電の接続申込み回答保留に関する当社の対応について )。

現在のところ、経産省によって認定された容量と稼働済みの容量には未だ大きなギャップがあり、その全てが確実に接続されるとは限らないため、今後定期的に報告徴収などが行われるのであれば接続する余地が出てくる可能性も考えられるが、再生可能エネルギー設備を踏まえた系統運用の在り方についての抜本的な見直しが必要な時期に差し掛かっていると言えるだろう。