今後のビジネス展開「保守メンテナンス事業」

太陽光発電に関するPVN24独自のニュースを特集記事として配信!

50kW以上の太陽光発電所は法定点検の必要あり

メガソーラーをはじめとした発電所建設が相次ぎ、再生可能エネルギーによる国内の電力供給は飛躍的に向上しました。2014年度では予想を上回るスピードで連系が進み、電力の需給バランスを考慮した結果、電力会社が接続回答を保留するという事態も起きたことは、再エネ事業がいかに日本経済に活力を与えてきたのかをうかがい知ることができます。

そして、2016年度にはいよいよ電力小売り自由化が本格化。異業種からの参入も相次ぎ、地区ごとに独占状態にある電力会社もその垣根は崩れることとなるでしょう。自由化によって適正な競争が生まれ、低価格で充実したサービスが提供されることは、消費者にとっては歓迎ムードであり、すでにいくつかの企業が参入の意向を示しています。

規模の大小はあるものの、売電を目的とした太陽光発電を運営することは、小売り自由化にともなう電力供給者としての側面を持っており、20年間という長いスパンで発電を安定化させることが重要なのは言うまでもありません。特に50kW以上の太陽光発電所、20kW以上の風力、水力発電所は電気事業法上の電気工作物(発電所)となり、電気主任技術者の選任届けが必要です。選任を受けた電気主任技術者は、法定点検を行う必要があります。

太陽電池発電設備出力容量 電気工作物の種類 点検頻度
50kW未満 一般用電気工作物 自主点検
50kW以上2,000kW未満 自家用電気工作物(外部委託の対象) 2回以上/年
2,000kW以上 自家用電気工作物(選任主任技術者) 常駐

保守メンテンスの項目と費用

特に法定点検が義務付けられている50kW以上の発電所については、連系開始後の保守メンテナンスに対するニーズは依然として高く、施工販売会社が従来のノウハウを使ってビジネス展開しやすい分野といえるでしょう。50kW未満システムについても、ふとしたきっかけで発電量低下を気にする利用者は多いため、メンテナンスにかかる費用対効果が明朗であれば、ビジネスチャンスにつながります。

太陽光発電所を運営する場合、遠隔対応のモニタリングで発電状況をチェックできるものの、発電量の低下にはなかなか気付きにくいものです。また、パネルの経年劣化を考慮した上で、前年よりも多少は発電が落ちるという認識は一般的ではありますが、年数を重ねていくにつれ年度ごとの比較というものが疎かになりがちなのです。

保守メンテナンス契約によって継続的に発電所を監視し、発電量低下リスクを早期に発見することは、相応の専門知識とノウハウが必要ですが、点検すべき内容は概ね共通したものとなっています。

保守メンテナンスの内容

  • 太陽光パネル

    • パネルガラス面の汚れや破損の確認
    • 架台や配線の破損の確認
    • パネルガラス面の清掃
  • パワーコンディショナ

    • 外箱の腐食や配線の破損の確認
    • 通気口、換気フィルタの損傷の確認
    • 異音、異臭、発煙、過熱の確認
    • 単独運転検出機能の確認
    • 指示計器の状態確認
  • 接続箱

    • 外箱の腐食や配線の破損の確認
  • キュービクル(設置している場合)

    • 外箱の腐食や配線の破損の確認
    • 器具、配線の取付状態及び過熱の確認
    • 電圧、電流の測定
    • B種接地工事の接地線に流れる電流測定
    • 絶縁抵抗測定、接地抵抗測定
    • 保護継電器試験

保守メンテナンスで使用する測定機器

  • ストリングトレーサ

    ストリングトレーサ

    住宅用から産業用、メガソーラーまでの太陽電池モジュールの電機的なストリング異常を検知する装置です。施工時、定期点検時のモジュールの良否判定に使用することにより、点検を効率化することができます。

  • セルラインチェッカ

    セルラインチェッカ

    住宅用から産業用、メガソーラーまでの太陽電池モジュールのメンテナンス時に各ストリング(複数太陽電池モジュールの直並列接続回路)を構成する太陽電池モジュールの配置、故障モジュール・故障セルを探査する装置です。

  • サーモグラフィ

    サーモグラフィ

    太陽光発電設置後のメンテナンスに使用する赤外線サーモグラフィーです。アレイ全体の熱分布から、不良モジュール、更にモジュールの異常発熱箇所を特定できます。

保守メンテナンス事業がまだ始まったばかりということもあり、費用についてはこれと決まったものはありません。当然ですが、メンテナンス頻度や保守内容、高圧か低圧かによって価格帯も違ったものになることでしょう。

売電から得られる年間収益を考慮し、費用対効果を明確にした料金体系が望まれるのは言うまでもありません。保守メンテナンス事業が活発化し、やがてサービスの質と価格の妥当性が明確化されれば、再生エネルギーを底辺から支える有望なビジネスとなることでしょう。