「スマートエネルギーWeek2015」蓄電池リポート

太陽光発電に関するPVN24独自のニュースを特集記事として配信!

東京ビッグサイトにて「PV EXPO2015 第8回 [国際]太陽電池展」と同日程で開催されれたスマートグリッドの展示イベント「第5回 [国際]スマートグリッドEXPO」。2015年2月25日~2015年2月27日の3日間で開催される国内最大級のイベントとあって、会場はたくさんの来場者で賑わった。

会場内では、国内外の有力メーカーによる趣向をこらしたブースが軒を連ね、自社製品の魅力が視覚的にディスプレイされていた。電力自由化やEV市場への注目が高まる中、スマートグリッドの最先端のお披露目となる同イベントに密着し、最新の蓄電池動向をリサーチしてきたのでレポートする。

パナソニック(Panasonic)

スマートHEMSをコンセプトに、わかりやすいレイアウトとプレゼンテーションが注目を集めたパナソニック。今回展示されていた機器は、2015年3月25日より受注が開始される創蓄連携システム(蓄電容量:5.6kWh/11.2kWh)だ。

パナソニック

(左:リチウムイオン蓄電池ユニット 右:パワーステーション)

この蓄電ユニット(LJB1156)の特長は、従来品(LJP1146K)と比較して蓄電容量が20%アップし、使用できる電力量も約2倍に増えたということ。電気の節約志向が高まる中、徹底的にユーザー目線に立った製品設計が成されている。

また、既設の太陽光発電システムに対しても追加設置が可能。パワーコンディショナや接続箱といった機器を入れ替えることで創蓄連携システムの運用が始められ、さらなる省エネ効果が期待できるだろう。

フォーアールエナジー(4R ENERGY)

ご存知、日産リーフにも採用されているリチウムイオンバッテリー。4R ENERGYは今年に入り、EV/PHEV社会の到来を見据えた新ブランド「ENEHAND(エネハンド)」を打ちだしている。まずはその第1弾として、EV/PHEV用蓄電池付充電器(CHB-240A03)が披露されていた。

4R Energy

日産自動車と住友商事の出資によって設立された4R ENERGYの強みは何と言ってもクルマだろう。充電インフラが加速度的に整うことになれば、電気自動車の普及もそう遠くない話なのかもしれない。

今回リリースされた蓄電池付充電器のラインナップは、コンパクトタイプ(マンション・一般住宅用)とスタンドタイプ(大型マンション・公共/商業施設用)の2つ。クルマによる利便性がわかりやすい形で認知されれば、インフラの役目を担う蓄電池付充電器は一気に普及することと予測される。

ニチコン(nichicon)

ニチコンから出展されていた機器の一つが家庭用蓄電システム(ESS-U1SK)。この蓄電ユニットは屋外設置用だが、同じ7.2kWh容量で屋外設置用のESS-SP2Sもリリースされている。

充電、蓄電機器を幅広く展開するニチコンでは、話題のEV(電気自動車)市場を視野に入れた「EVパワーステーション」も展開している。

ニチコン

屋内、屋外の2機種があるほか、屋外タイプでは増設ユニットを併設することで14.4kWhの蓄電容量を確保。家庭用では最大級の蓄電システムを構築できるため、利用用途に合わせた柔軟なシステム設計が特徴だ。

ユーザビリティーを考えた簡単でわかりやすいタッチパネル。太陽光発電との連携では、選べる2つの運転モード。利用者に配慮した製品設計が随所に見られる蓄電システムと言える。屋外タイプ(ESS-U1SK)は10年保証、屋外タイプ(ESS-SP2S)は15年保証。

オムロン(OMRON)

オムロンでは、今春発売予定の新製品「KP48S-PKG64」太陽光発電用ハイブリッド蓄電システムがディスプレイされていた。

住まい空間にひっそりと置かれた蓄電ユニットはわずかに空気清浄器サイズほど。世界最小、最軽量、長寿命をうたったオムロンの最新作は、既存品とくらべて軽く、設置も簡単。室内に溶け込んだ外観は、蓄電池の未来を予感させるものだった。

オムロン

KP48S-PKG64の特長は、何と言っても1台で太陽光発電用と蓄電池用を兼ね備え、太陽光発電の電力を直流のまま貯めることで、ロスなく充電できるところだろう。充放電寿命も10年以上と長く、安心して利用できることに加えて、ユーザーの利用状況に合わせた運転モードを搭載。夜間の割安な電気を貯めて日中使用する経済重視モード、不測の事態に備えて常に50%以上の充電を維持しておく安心優先モード、計画停電など備えて常に満タン充電しておく強制充電モードなどが用意されている。

NEC

大型蓄電システムが大々的にPRされていたが、2015年1月よりリリースされた小型蓄電システム(ESS-003007C0)も実機が展示されていた。従来の家庭用蓄電システム(ESS-H-002006B)と比べて容量、出力ともに大幅な性能アップが図られており、製品寿命は業界最長の15年となっている。

NEC

サイズは従来品よりも10mm薄く、高さが85mm高くなっているが、新製品では宅内に設置する2つの装置が一体化されたことで、施工時間が従来の半分に短縮された。4つの運転モードが用意されており、太陽光発電システムと併用しない場合は、通常運転モードか、ピークカット運転モード。ピークカット運転モードでは、系統から購入する電力量の上限を決めておき、それを超えた場合に蓄電池から電力を供給する。太陽光発電システムと併用する場合は、経済モードかグリーンモードを選択。経済モードでは太陽光発電で得た電力を可能な限り宅内で利用し、余った電力を売電する。グリーンモードでは余った電力をなるべく充電にまわし、満充電になったら売電するといったもの。

エネテラス(EneTelus)

田淵電機の事業ブランドEneTelusでは、産業用蓄電システムのほかに、ポータブル蓄電システム5.0kWh(ESC-C-S50B-LB)と2.5kWh(ESC-B-S25B-LB)が展示されていた。

パワーコンディショナをはじめとするエネルギー機器で多くの実績がある田淵電機。同社の特長は信頼性の高いものづくりにあるのではないだろうか。

エネテラス

両タイプとも屋内設置でキャスター付き。5kWhタイプでは、2口コンセントが正面に2個付いていているほか、液晶タッチパネルによる操作も可能となっている。全体的にスリムな形状をしているので、置き場所に困らないのも特長といえるだろう。バッテリーは信頼性の高い国内メーカー製が使われていますので、安心して利用できる。

因幡電機産業

因幡電機産業では、G-Lifeセーブ(GAA24-5000M)が早くも展示されていた。新製品は、従来よりも蓄電池容量がアップした5kWhのモデル。重厚なブラックが印象的だった従来のG-Lifeセーブではなく、今回のスマートグリッドEXPOにて披露されたのは白ボディだった。

因幡電機産業

安全性が高いとされるリン酸鉄リチウムイオンを採用した蓄電池がG-Lifeセーブ。小型ながら高い性能を持つことで知られているが、特長であるコンパクト設計は新製品でもきっちり継承されていた。(W350mm×H690mm×D600mm)

急速充電・高出力が自慢のリン酸鉄リチウムイオンは、停電時の自動切替も標準搭載しており、急な停電や計画停電の時にも電力を安定的に供給する。

enenova

中央物産の次世代事業ブランド「enenova」からは、公共・産業用に加えて、住宅・小規模用蓄電システムが展示されてた。展示されていた実機は従来モデルのENESS-0126Sで、12.6kWhの蓄電容量を備えている。蓄電システムの機能は非常にシンプルに設計されている。

enenova

enenova蓄電池の特長は、蓄電容量が大きいため、同時にさまざまな機器を長時間使用できるところだ。UPS(無停電電源装置)としての機能も有しており、停電など不測の事態にも大容量で対応可能。バックアップ電源としても有効活用できる蓄電システムとなっている。

ヤマビシ(YAMABISHI)

無停電電源装置(UPS)メーカーのヤマビシのブースに展示されていたのは公共産業向け蓄電システムYRWシリーズ。WEBを通じた見える化システムが標準搭載されており、豊富な機能が用意されている。一体型システムなので、設置スペース削減にも貢献。運用しやすい産業用蓄電池だ。

ヤマビシ

使用されている電池は東芝製のSCiBで、信頼性が高く長寿命。全体的な特徴としてはUPSメーカーらしく、「電源」に特化しているところだ。蓄電池電圧の高低を商用トランスで吸収することで、蓄電池DC/DCコンバータが必要なくなり、双方向電源のみで動作が可能。ビルや店舗向けの蓄電システムに最適な構成を取ることができる。

LS産電

韓国の有名大手企業「LG」から独立し、個別の事業展開を進めるLS産電。今回のブース展示では、LS-EESリチウムイオン蓄電システムを使った太陽光連携フローが紹介されていた。

LS産電

(左:蓄電システム 右:ハイブリットPCU内蔵型蓄電システム スリム形)

ハイブリットPCU内蔵モデルは系統電力(AC)および太陽電池(DC)入力も可能としており、利用の幅が広がりそうだ。太陽電池モジュールメーカーとして活動し、業界内ではいち早く低価格路線を進めてきた同社。太陽光発電システムとの親和性を考えた製品設計が強みといえるのではないだろうか。