
パナ、10アンぺア制御実現の太陽電池接続用半導体リレー開発
パナソニックは従来比2・5倍の最大10アンぺア制御を実現したDC(直流)半導体リレーを開発した。主に太陽光発電システム用ジャンクションボックスでの採用を見込んでおり、発電効率の低下を抑える。また、住宅屋根に取り付けた太陽光パネルを破るなどして、消防士が消火に当たる際の感電防止機能を盛り込んだ。太陽電池メーカーなどに提案する。伊勢工場(三重県玉城町)で量産を始めており、2013年度に売上高3億円、15年度に同10億円を目指す。
パナソニックが開発した半導体リレー「フォトモスリレー・パワーDC高容量タイプ」は、スイッチング素子に金属酸化膜半導体(MOS)電界効果トランジスタ(FET)を使用した。負荷電圧60ボルト、負荷電流10アンぺアで、オン抵抗は8ミリオーム。
採用を見込んでいる太陽光発電システム用ジャンクションボックスは、太陽電池パネル同士をつなぐコネクターやケーブルを接続・中継する装置。パネル上に遮蔽(しゃへい)物がかかったり、不具合が発生すると、システム全体で発電効率が下がる。これを防ぐために、従来はジャンクションボックスにバイパスダイオードを使用するか、対策を取らないケースが一般的という。
パナソニックの開発した半導体リレーを採用すると、バイパスダイオードを使用した太陽光パネルに比べて損失を4割改善でき、発電効率が高まる見通しという。また、火災時には各パネルを短絡させることで安全性を保ち、保守メンテナンスも遠隔制御できる。
一般に大電流化を実現する半導体素子を使うと発熱が大きくなるが、リードフレームの設計の工夫などで対応した。計測機器やDCヒーターなど産業機械にも需要が広がると見ている。パナソニックは半導体リレーの世界市場で3割程度のシェアを握っているという。
(記事:朝日新聞)