
「高圧」太陽光発電、始動
7月から始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を受け、鯖江市の織布メーカー「福島織物」が1日、同市神中町2丁目の同社神中工場の屋根に設置した出力約100キロワットの太陽光発電システムを稼働させた。50キロワット以上の「高圧」の発電としては県内初になるという。
この日午後3時半ごろ、専用の設備から北陸電力への送電が始まった。FITでは、出力10キロワット以上の設備の発電は1キロワット時あたり42円で電力会社が20年間、全量を買い取る仕組みになっている。
今年6月に屋根の工事を始め、国産の太陽光発電パネル計468枚が設置された。パネルの設置自体には国や自治体からの補助金はなく、計約5千万円を投じたが、売電により11年間で回収できる計算だという。「効率の良い南向きの屋根には、やれる範囲で全部やった」と、同社の福嶋昭二社長は話した。
時期によって発電量は異なるが、年間11万キロワット時の発電ができ、年間462万円が得られる見込み。冬季に雪が降っても、パネルの傾斜で雪が滑り落ち、晴天なら発電できる設計になっている。
出力が数キロワットの一般家庭用の太陽光発電設備の電流と違い、出力50キロワット以上の発電設備の場合、専用の変圧器を通して高圧に変換してから電力会社に売電する。このため、今回は送電用の新たな電柱も工場脇に建てた。
施工したジャパンインペックス(鯖江市、佐飛康央代表)によると、出力約100キロワットの設備は同市内の別の工場でも来春、導入を予定しているという。同社の担当者は「あちこちの屋根の上に太陽光パネルが広がる町になることを期待したい」と話している。
(記事:朝日新聞)