
長府製作所、2工場にメガソーラー 3年後、5メガワット規模
長府製作所は山口県下関市の本社工場と宇都宮市の宇都宮工場に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を設置し、中国電力と東京電力に売電する。3年後をめどに合計の発電能力を5メガ(メガは100万)ワット規模にする計画。総投資額は15億円を見込む。交流電流の周波数が異なる西日本と東日本でそれぞれの発電ノウハウを蓄積し、家庭用給湯・暖房装置など自社の省エネ機器の開発に生かす。
第1弾として、本社工場内の東南向きの工場と倉庫、計2棟の屋根に1メガワット規模のメガソーラー(総面積約1万2000平方メートル、パネル約4500枚)を設置する。10月中旬に着工、年内に完成を予定しており、発電した電力は中国電力に全量売却する予定だ。
続いて2014年3月期中に、宇都宮工場にも本社工場と同規模のメガソーラーを設置し、発電を開始する。現在、設置場所などを詰めている。宇都宮工場での発電分は全量を東京電力に売る。
長府製作所は10年代半ばまでに同社の主要工場に総発電能力5メガワット規模のメガソーラーを設置する計画を検討していた。ただ、パネル1枚(1.0メートル×1.6メートル)の重さは約20キロあり、滋賀工場(滋賀県野洲市)ではパネルすべての重さに対し、建物の強度が不足していることが分かり、設置を断念した。
このため、現時点では本社工場と宇都宮工場の2カ所に設置場所を絞り、3年後をめどに発電能力5メガワットを目指す。
太陽光によって発電した電力は国の再生可能エネルギー全量買い取り制度を使い、全量を電力会社に売電する。同社によると、本社工場に設置した発電能力1メガワットの設備が順調に稼働すれば、売電による年間収入は約4000万円になる見込み。5メガワットの設備が完成した段階では、年間約2億円と試算している。
日本では電気の周波数が静岡県の富士川と新潟県の糸魚川あたりを境に、東側は50ヘルツ、西側は60ヘルツになっている。長府製作所は天候と発電量の関連や、周波数の異なる電力会社への売電効率などを分析し、データとして蓄積。太陽光発電を石油やガスによる給湯器と組み合わせた場合の最適化など、家庭機器の開発にも反映していく。
本社工場の場合で年間約350トンの二酸化炭素(CO2)削減効果が見込めることから「再生可能エネルギーを使い、地球環境を保護する製品開発に積極的に取り組んでいく企業イメージをアピールする」(橋本和洋社長)と話している。