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2012年10月25日
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アスケア 「太陽光発電」分譲 土地付き780万円から

「脱原発に向け、一歩踏み出そう」と、さいたま市岩槻区の不動産会社「アスケア」が今月、土地とセットになった太陽光発電システムの販売を全国に先駆けて開始した。四條康司社長(61)を動かしたのは「原発を地方に押しつけ、都会がぬくぬくと生活していていいのか」との思いだという。「快晴日数日本一」の県内で「個人ができる社会貢献を」と呼び掛けている。

 四條社長は「自然環境を守る運動をライフワークにしたい」と、勤めていた大手食品会社を57歳で繰り上げ退職。自然環境をテーマにしたNPO「ライフネット」を立ち上げ水などの資源問題に取り組んできたが、東京電力福島第1原発事故で、原発の崩壊した姿や放射能被害などに言葉を失った。

 原発の安全性を疑わず、立地自治体や住民に心を寄せたことも感謝したこともない自分が恥ずかしかった。「脱原発を叫んでいるだけではだめ。俺に何ができるのか」。自問自答の末、誰もがどこからでも参加できる「太陽光発電所」の分譲方式を考えつき、3年前に設立した会社の新たな事業とした。

 手始めに同区の土地に太陽光発電パネル48枚(1枚2・7平方メートル)を1区画(約130平方メートル)とした「岩槻発電所」(全8区画)を設置。土地付きの1区画780万円で販売を開始した。蓮田市では16区画の用地を確保し、茨城県古河市(12区画)など県外でも売り出し準備を進めている。

 県によると、快晴日数は3年連続日本一で、年間日照時間は1日6時間前後。7月から始まった固定価格買い取り制度では、太陽光発電の売買価格は1キロワット時当たり42円、1区画で年90万〜100万円程度になる。パネルの保証期間は25年で、10年あれば資金が回収できる見込みだ。

 売電申請や保守管理は同社が行う。太陽光発電を考える個人向け融資を始める金融機関も出始めており、川口市の自営業、桜井多加志志さん(65)は「自分なりに何か社会貢献できないかと考え、理念に共感して購入を希望した」と話している。

 問い合わせは同社(電話048・812・5150)。

(記事:毎日新聞)

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