
北海道電・東北電、変電所に大型蓄電池-太陽・風力を効率運用
北海道電力と東北電力は2013年度から変電所での大型蓄電池実証事業を始める。全国で太陽光や風力発電など再生可能エネルギー導入が進んでいることを受け、電力系統の安定化とエネルギーの効率運用を両立できる変電所での蓄電池制御手法などを確立する。変電所に大型蓄電池を設置するのは国内初と見られる。導入費用は経済産業省が助成する方針だ。
北海道電力と東北電力は基幹系統の変電所に約2万キロワットの大型蓄電池をそれぞれ設置する計画。13年度から2年程度で設置を完了し、その後3―5年かけて実証を行う。
蓄電池の種類はナトリウム・硫黄(NAS)電池などを想定する。変電所における大型蓄電池の本格導入に必要な制御・管理技術を検証するのが主な目的だ。
今年7月の全量買い取り制度開始に伴い再生エネ導入が加速するなかで、系統安定化が課題だ。太陽光や風力発電所からの電力は周波数の調整が必要なほか、日射量や風量によって出力変動もあるため、バッファーとして蓄電池の重要性が高まっている。
出力変動の大きい太陽光発電所などから系統への受け入れを制限する連系可能量は比較的低いが、管内での再生エネ整備計画が増えている2社にとって実証事業の意義は大きい。
従来は大型蓄電池が高額なこともあり、発電所側への小規模導入が多かった。経産省が支援することで、コストの問題を解消。変電所へ集中設置することで、一定地域の電力需給をまとめて効率的に管理できるのが利点だ。また、発電所ごとでは変動する出力も一カ所に集めることで、その変動幅を全体として小さくできるという。
これまで関西電力が11年から管内の変電所にニッケル水素電池を導入するなど研究の実例はあるが、設置する蓄電池は小規模にとどまっていた。
今回の蓄電池大量導入は国内電池産業への好影響も期待される。東日本大震災以降、オフィスや家庭で蓄電池需要が拡大しているものの、高額なため普及はなかなか進んでいない。電力会社による大量導入で電池メーカーの量産効果が高まれば、商品の低価格化が市場を活性化させる可能性はある。
(記事:朝日新聞)