
畑に太陽光発電所 茅野市豊平に農地転用の県内初施設
農地転用で事業用地を確保した県内初の太陽光発電施設「豊平矢島発電所」が、茅野市豊平宮ノ上に完成した。経済産業省資源エネルギー庁から正式認定を受けた施設で、地権者である自営業の矢島貢さん(85)が事業化する。総出力は20.16キロワット時。11日に本格稼働し、中部電力への売電をスタートする。
矢島さんは、農業にも従事してきたが、高齢のため耕作をやめて遊休農地となっていた畑を有効活用した。自宅屋根にも太陽光発電パネルを設置しているため、7月から施行された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を受けて、畑の中に太陽光発電所を造った。
豊平矢島発電所は、第2種農地957平方メートルの約半分、468平方メートルを分筆して、事業用地とした。
太陽光発電パネルは、1枚が横2メートル、縦1メートルの大きさで、出力は280ワット時。横に9枚(全長18メートル)、縦は4段(同4メートル)の計36枚を並べた。2列設置し、計72枚の規模とした。総出力20.16キロワット時は、一般家庭で約5軒分の消費電力に相当する。
事業はベンチャー企業の「グッドライフ」(岡谷市南宮)が請け負い、中国のサンテックパワー社製のソーラーパネルを採用した。総事業費は約980万円。
1キロワット時の買取価格である税込み42円を、予測発電量で換算すると、年間の売電総額は約110万円。諸税を差し引くと収益は約98万円と予想。同社は10年間で投資資金を回収できると試算した。
矢島さんは「地球にやさしい自然エネルギーの拡大につなげたい」と話す。グッドライフの荒巻尚樹社長(46)は「第1種農地の転用は原則禁止だが、第2種・第3種農地の耕作放棄地を太陽光発電施設に活用することで、農家収入の底上げにもなる」と農業従事者の高齢化、後継者不足などの課題にも対応したい考えだ。
20、21の両日、午前9時~午後5時、現地で事業説明会を行う。問い合わせは同社諏訪支店(電話0266・78・6018)へ。
(記事:長野日報)