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2012年10月30日
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EUの中国製太陽パネル調査、2週間以内に立件か

米ジョーズディ法律事務所ブリュッセル事務所パートナーのレナート・アントニーニ氏はこのほど、「中国製太陽光パネルに対するダンピング調査請求はすでに提出されており、2週間以内に立件する予定だ」と紹介した。同氏の認識によると、EUの中国製太陽光パネル企業に対する相殺関税は米国より低く、「致命的な打撃」にはならないという。

EUは9月初め、中国製太陽光パネルやシリコンチップなどに対するダンピング(不当廉売)調査を決定したが、実行には移していなかった。20社あまりで構成される欧州の太陽光発電企業団体EUProSunは9月25日、中国太陽光企業が政府から補助金を得ているとして調査を要求した。EUは45日内に立件するかどうかを決める。

EUProSunのMilanNitzschke代表は、「政府の補助金がなければ、大部分の中国系太陽光発電企業はとっくに破産しているはずだ。欧州では2012年度だけで20社以上の太陽光発電企業が破産の危機に瀕している」と語った。

調査権と最終決定権を兼ね備えた米国商務省に対し、相殺関税の最終決定者と実施者であるEUは27ヵ国の意見で構成される。この27ヵ国の利益は一致するわけではなく、一部の国は太陽光パネルの調達者に過ぎず、この決定に影響する可能性もある。アントニーニ氏は、「ドイツ、スペイン、ギリシャなどの太陽光発電産業大国に対し、英国、デンマーク、アイルランド、オランダ、スウェーデンなどの北部国家は反ダンピングには賛成していない」と明かす。

同氏はまた、「EUの中国製太陽光パネル調査プロセスは米国に似ているが、実質的な問題、特に損害賠償の程度を算出する面で格差が大きい」という。

一般的にEUが算出する損害程度は米国を下回る。同氏によると、EUのダンピング調査には次の3つで判定結果が出るという。(1)ダンピング行為は存在しない。(2)ダンピングは存在するが、産業に損害を与えていない。(3)ダンピング行為が存在し、産業に損害を与えている。米国の相殺関税は損害程度ではなくダンピングの幅を依拠としているが、EUは損害の程度で関税を決めている。米国商務省は中国製太陽光パネルに18.32%~249.96%の反ダンピング関税と14.78%~15.97%の相殺関税を課すことに決定している。

同氏は、「太陽光発電産業は煙草のように暴利をむさぼる業界ではなく、高い懲罰的関税はおかしい。新エネルギー産業であり、どの国もこの産業を壊滅させたり、打撃を加えるなどの気持ちはない」と語っている。

(記事:朝日新聞)

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