メガソーラー 県内次々
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まり、県内でも大規模な太陽光発電所(メガソーラー)の建設が相次いでいる。ある程度の広さの土地と送電設備の容量が確保ができれば、離島や中山間地が多い県内でも、基本的にどこでも設置可能。塩漬け公有地の有効活用策として自治体にもメリットがあるようだ。
佐賀県境にある松浦市福島町では、約2万3千平方メートルの市有地に出力約1.2メガワットのメガソーラーが建設される。
市商工課によると、この市有地は合併前の旧福島町が1990年、エビ養殖場建設用地として4300万円で購入したものの、残土置き場になっていた。最寄りの西九州自動車道佐世保三川内インターから車で1時間ほどかかり、「今まで何も生み出していなかった土地」(同課)だった。
今回、市は諫早市の事業者に土地を20年間無償提供する代わり、事業者が市内から5人程度を雇用し、売電価格の3%(年間120万~130万円)を市に寄付する協定を交わした。20年間で約4千万円の固定資産税も市に入る見込みだ。
長崎市の離島・高島のメガソーラー予定地は、炭鉱から出たボタなどで埋め立てた市有地。海に面して潮風が強く、1986年11月の閉山後、放置されたままだった。市は2万6千平方メートルを約6千万円で売却。事業者は海底ケーブルで本土に送電する。
佐々町の工業団地内にある町有地は約20年前に造成したまま塩漬け状態だった。1.5~2メガワット程度の出力を計画し、発電量に応じて土地の賃料が決まる契約で、1.5メガワットの場合、年615万円になる。20年契約で約1億2300万円が町に入る勘定だ。
◎誘致へ売り込み強化 「安売り」転用 反発も
県は今年5月、メガソーラーの適地33カ所をホームページで公開した。固定価格買い取り制度が始まった7月以降は「全国から問い合わせが殺到した」(ナガサキ・グリーンニューディール推進室)という。
九州は日照時間が比較的長く、これまで交通が不便で敬遠されてきた土地が脚光を浴びた形だ。県は引き続き全国への売り込みを強化していく方針だ。
一方、投資をして造成した土地をメガソーラーに転用する「安売り」に反発が出たケースもある。
松浦市は福島町の平野工業団地の市有地に市内二つ目のメガソーラーを誘致する計画だった。しかし、工業団地は道路整備などで数億円規模の投資をしてきたため、市議会は「メガソーラーでは地元に雇用を生まない」と反対。友広郁洋市長は10月30日、事業者公募の断念を表明した。
固定価格買い取り制度で長期間にわたって適正な利潤が出ることが保証されれば、自然エネルギーへの投資が増える。ただ、買い取り費用は電気料金に上乗せされ、最終的には消費者の負担になる面もある。
(記事:朝日新聞)

