太陽電池の中国EU紛争、台湾勢に漁夫の利
太陽電池をめぐる中国と欧州連合(EU)の貿易紛争が激化していることを受け、不振が続く台湾の太陽光発電業界に回復への期待が高まっている。太陽電池大手のリツ晶能源科技(ジンテック、リツ=日の下に立)やシリコンインゴットとウエハー製造の中美セキ晶(シノアメリカン、セキ=石へんに夕)などからは「12月までにトンネルの中に光がさすだろう」との声が上がっている。
中国商務部は1日、太陽電池の原料に使われるEU製のポリシリコンに対し、反ダンピング(不当廉売)・反補助金の調査開始を発表。EUが9月に中国製太陽電池への反ダンピング・反補助金調査を始めたことへの対抗策とみられる。中国製太陽電池については、米国も先に反ダンピング関税と反補助金の相殺関税を課している。
リツ晶の潘文炎董事長は「中国がEUに対抗措置を取ったことで、(EU産原料を輸入しづらくなる)中国の太陽電池メーカーの生産コストは上がり、台湾は逆に安い原料を確保しやすくなる」と解説。中美セキ晶の徐秀蘭総経理は「中国、EU、米国が貿易紛争に巻き込まれたことで、台湾太陽電池産業の重要性が相対的に高まる」と指摘した。
中国勢が主導する価格競争に苦しめられてきた台湾勢は、今回の中国による措置が原料のポリシリコンから太陽電池製品に至る相場の下げ止まりにつながると期待する。ただ、一部には「(8日開幕の)共産党大会後に、中国の新執行部が太陽電池産業への支援を続けるかどうかがより重要」(茂迪=MOTECH幹部)との見方もある。
(記事:NNA.ASIA)

