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2012年12月19日
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JR四国が太陽光発電参入 遊休地活用し収益拡大

 四国旅客鉄道(JR四国)は太陽光発電事業に参入する。2013年度に香川県宇多津町など3カ所で始め、数年で5~6カ所に拡大、年間約5000万円の売電収入を見込む。高速道路延伸や人口減少で鉄道収入が伸び悩む中、新規投資を絞り込んできたが、今年度から国の経営安定基金効果で収益を安定確保できる見通しとなり、積極投資に転じる。非鉄道分野で収益拡大を狙う。

 宇多津町の空き地となっている新幹線用地(約4000平方メートル)で来年10月に開始。太陽光パネルを約1200枚設置、最大出力は250キロワットで年間約31万キロワット時(一般家庭の約75世帯分)を発電し、全量を四国電力に売電する。投資額は約1億円。年度内に経済産業省に設置を申請、1キロワット時あたり42円の固定価格買い取り制度を利用する。

 さらに来年度内に自社グループの保有する香川県内の店舗用地や宅地用地で、同規模の太陽光発電設備を稼働させる。

 採算性を見ながら将来は本社や多度津工場(香川県多度津町)、高松運転所(高松市)などの屋根にも設置し、5~6カ所程度に広げる。これにより合計約1メガワットを発電し、年間約5000万円の収入を見込む。

 同社は四国内を中心に100以上の遊休地を保有している。太陽光発電であれば電気工事業を手掛ける子会社の技術やノウハウを有効に活用できるのに加え、一度設置すれば人件費がほぼかからず、運営や維持のコストを低く抑えられる。

 JR東日本やJR九州はすでに太陽光発電事業に取り組んでいる。JR四国は今年度から国の経営安定基金の事実上の積み増しを受け、少なくとも今後数年間は安定的に収益が出る見込みとなったため、12~16年度にかけて460億円の設備投資をする中期経営計画を今年4月に策定した。

 すでに今年度から数億円を投じて線路の枕木の強度を高める工事を進めているほか、14年度からは約40億円をかけて走行性能や省エネ性能が高い最新設備を備えた新型特急車両を導入する方針を明らかにしている。

 四国では少子高齢化が進展、2年後に本四高速料金の値下げも予定されており、同社の鉄道事業を取り巻く環境は厳しい。経営安定基金の事実上の積み増し効果で財務状態が安定しているうちに新規投資を進め将来の収益源の種まきをする。

(記事:日本経済新聞)

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