瞬時電圧低下とは、落雷などによって電力設備に故障が生じ、送配電網の電圧が瞬間的に低下する現象のこと。「瞬低」とも呼ばれます。
送電線などの系統において事故が発生した際には、保護継電器で事故箇所を検出し、 遮断機を開放して切り離す処理が自動的に行われますが、処理が完了するまでは事故箇所を中心に電圧が低下してしまいます。
現象の継続時間は保護継電器および遮断機の動作時間によって決まり、一般的には電圧が高くなるほど短くなる傾向があります。 また、その波及範囲は事故箇所によって異なり、電圧階級の高い設備の事故では範囲が広く、低位電圧階級での事故では狭くなるようです。
瞬時電圧低下が一般家庭に及ぼす影響はあまり大きくありませんが、工場を始めとするコンピューター制御の製造装置や精密機器を用いる現場では、 極めて短時間の電圧低下であっても大きな影響を受ける恐れがあります。
系統運用者は影響を最小限に留めるため、電力系統への雷撃事故に対して高速に事故箇所を切り離すように設備を制御していますが、 これだけでは瞬停対策として今ひとつ確実性に欠けている感じが否めません。 より有効な対策として、需要家側(電力の消費者)で低電圧・低周波電源装置や無停電電源装置(UPS)を導入すること、 電源部に蓄電システムを導入すること等が挙げられます。