フィールド設置の基礎について

太陽光発電に関するPVN24独自のニュースを特集記事として配信!

アレイに作用する風圧荷重(負圧)

太陽光アレイ(以下、アレイ)が強風で飛ばされないようにするためには、固定荷重が風圧荷重を上回っていなければなりません。(※本記事内でいう風圧荷重は、全て負圧のものとします。)

アレイに作用する風圧荷重の求め方は、JIS(日本工業規格)のC8955「太陽電池アレイ用支持物設計標準」によって定められています。

では実際に、傾斜角度が20度のアレイに作用する風圧荷重はどのくらいなのでしょうか。今回検証する太陽光発電システムの概要、設置環境は以下のように仮定します。

風圧荷重の計算

アレイ一組にかかる風圧荷重を求めるためには、まずアレイの1㎡あたりに作用する風圧荷重を把握しなければなりません。

風圧荷重は、風圧荷重(N)= 風力係数(Cw)× 速度圧(qp)× 受風面積(Aw)の計算式で求めることが出来ます。

風力係数の求め方

風力係数は、風を受ける構造物の形状によって異なってきます。流線型の新幹線が正面から風を受ける場合と、四角い構造物が正面から風を受ける場合では、風の抵抗力は全く異なります。

これを考慮したものが風力係数で、地上設置型の太陽光アレイに関しては以下の計算式で求めることが出来ます。(JIS C8955 15頁)

風力係数(Cw)= 0.71 + 0.016θ
(θ:アレイ面の傾斜角度。ただし、15度 ≦ θ ≦ 45度)

今回検証するアレイの傾斜角度は20度なので、0.71 + 0.016 × 20度の計算式から、このシステムの風力係数は1.03になることが分かります。

速度圧の求め方

速度圧とは、字の通り「風の作る圧力」を表す数値で、以下の式で求めることが出来ます。

速度圧(qp)= 基準風速^2(Vo^2) × 0.6 × 環境係数(E) × 用途係数(I)

速度圧を求めるためには、先に基準風速、環境係数、用途係数を求めなければなりません。

基準風速

基準風速とは、その地方における過去の台風の記録(最大風速)に基づき、50年に1度の大型台風を想定して国土交通大臣が定める風速のこと。

設計風速を決定する際の基準となる風速で、全国の市町村別に30m/sec~46m/secの範囲内において数値が定められています。

今回は、多くの市町村で採用されている34m/secの基準風速を用います。

環境係数

環境係数とは、設置環境や状況によって受ける影響を補正することを目的とした数値で、環境係数(E) = 高さによる補正値^2(Er^2)× 風速の変動による補正値(Gf)の計算式で求めることが出来ます。

高さによる補正値Erは、Er = 1.7 ( Zb ÷ Zg )^α の計算式によって求められますが、Zb 及び Zg、α、Gfに代入する数値は設置場所の地表面粗度区分に応じて異なってくるため、下図を参照して下さい。

地表面粗度区分

今回は地表面粗度区分 Ⅱの地域に設置すると仮定しているので、Zb = 5m、Zg = 350m、α = 0.15の数値を用いることとなります。

したがって、高さによる補正値Erは、Er = 1.7 ( 5 / 350 )^0.15 = 0.85となり、今回の環境係数は0.85^2 × 2.2 =1.58になることがわかります。

用途係数

用途係数は、システムの用途によって異なってきます。極めて重要な太陽光発電システムの場合、用途係数Iには1.32が用いられますが、通常は1.0が用いられるケースがほとんどです。

これらの計算から、速度圧は34m^2 × 0.6 × 1.58(E)× 1.0(I)= 1095.88 Nとなります。