フィールド設置の基礎について
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アレイに作用する風圧荷重(負圧)
風圧荷重の求め方
最後に、この数値を冒頭の風圧荷重の計算式に当てはめることによって、アレイ1㎡に作用する風圧荷重(負圧)が算出されます。
風圧荷重(Wp)= 1.03 × 1095.88 × 1 = 1128.75 N
↓(9.81N = 1kgf として換算)
1128.75 N ÷ 9.81 N = 115.06 kgf
したがって、風速34m/sの風に耐えるためには、アレイ1㎡あたり115kgの重量が必要となるということです。
基礎に求められる具体的な性能
では、具体的に基礎にはどのくらいの重量が求められるのでしょうか。
フィールドに設置する場合、最も大きな懸念材料とされているのが台風です。気象庁が定義する最大風速44m/sec以上の「非常に強い台風」に耐えるためには、およそアレイ面積1㎡あたり191kgの重量が必要となります。
(アレイ面の傾斜角度が20度の場合。(44m/sec ÷ 34m/sec)^2=1.66、115kg/㎡ × 1.66 = 190.9kg/㎡の計算式より)
例として、一枚あたりの面積が1.65㎡(1,650mm × 1,000mm)の太陽光パネルを用い、3段10列でアレイを組む場合に必要となる基礎の重量を計算してみましょう。(傾斜角度は20度とする)
ここでは、最大風速は44m/secと想定して算出します。
まず、30枚の太陽光パネルを用いることから、アレイ面積Sは、S = 1.65㎡ × 30枚 = 49.5㎡となることがわかります。
このアレイに掛かる風圧荷重Pは、P = S × 191kg = 9454kgfとなりますが、平均的な太陽光パネルと架台の重量は20kg/㎡であるため、Pから固定荷重を引いた値が目安となる風圧荷重となります。
したがって、この場合基礎に求められる重量は、9454kgf -(20kg × 49.5㎡)= 8464kgとなりますが、これを体積で表すと、およそ3.7㎥のコンクリートが必要になるということです。(コンクリート1㎥あたりの質量を2.3tとして算出)
まとめ
現在、日本全国でフィールド設置型太陽光発電所の建設ラッシュが巻き起こっていますが、実際にこれまでの計算から求められた基礎重量を布基礎或いは置き石基礎でクリアしているという施設は少ないでしょう。
あくまでここで算出された数値は台風などを考慮した場合の数値であるため、日常的に発電する分には、これらの数値を満たしていなくとも大きな問題は発生しないと言えます。
しかし、異常気象の傾向が強まっている近年、今後どのような災害が襲うかは誰も予想出来ません。
適切な設計・施工は、太陽光発電事業の長期運用を実現する重要な要素となるため、事業予算の許す限り基礎や架台にも手をかけることが事業継続性の観点からも望ましいと言えるでしょう。