
メガソーラー 富士見町会が予算案可決 事業本格始動へ
諏訪郡富士見町が進めるメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業計画で、町議会は臨時会最終日の5日、町が提出したメガソーラー建設のための関連予算案を採決し、賛成多数で可決した。町は予算案の可否で事業を行うか判断するとしていたため、県内市町村では初めてとなる自治体主導のメガソーラー事業が本格的に動きだす。
町の計画では、町土地開発公社が保有する町内の平岡烏帽子(えぼし)用地4・3ヘクタールに、2メガワット(2千キロワット)級のメガソーラーを建設。7月に町が300万円を出資して設立し、小林一彦町長が社長を務める富士見メガソーラー株式会社(FMK)が事業を進め、施設の建設はNTTファシリティーズ(東京)が行う。
国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を活用し、中部電力へ売電。買い取り期間と同じ20年間に計19億4千万円の売電収入を見込む。町側の収入は7億3千万円と試算し、同公社が抱える約11億7千万円の負債の大幅な圧縮を図る。
町は臨時議会に、FMKへの追加出資金9700万円を盛った本年度一般会計補正予算案を提出。メガソーラーと中部電力の変電所を電線でつなぐ契約や工事の費用、用地の測量と造成工事の設計費用に充てるとした。
この日の討論は議長を除く10議員全員が発言。賛成議員は「公社の負債軽減で町の財政を健全化できる」「県が掲げる自然エネルギー元年を先取りするもの」と事業の意義を認めた。反対議員は「福祉など他に投資すべきものがある」「説明が不十分で、町民に理解を得られていない」などと述べた。安定した売電収入が得られるかとの懸念や、建設費8億円が多額との指摘は双方からあり、採決は賛成6、反対4と割れた。
町側は補正予算案可決を経て、年度内に経済産業省に固定価格買い取り制度の活用を申請、認定を得る考え。来年春ごろまでに着工し、同11月からの売電開始を目指す。
(記事:信濃毎日新聞)