相次ぐメガソーラー建設計画 県が積極支援
県内で大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設計画が相次いでいる。再生可能エネルギーの固定買い取り制度が導入されたことが大きな要因だ。遊休地を抱える自治体や企業と、ビジネスチャンスを狙う参入企業の双方にとって魅力的な事業といえ、新エネルギーの導入促進を掲げる県も支援に乗り出している。
鈴木英敬知事が今年二月、木曽岬干拓地にメガソーラーを誘致する計画を表明。国内外の六社が応募し、今月末にも事業者が決定する見通しだ。干拓地の一部、七十八ヘクタールに民間事業者が発電施設を建設し、国内最大級の三十五メガワット規模の発電所を目指す。
太陽光の買い取り価格は一キロワット四十二円で、二十年間適用される。県エネルギー政策課の担当者は「魅力的な価格と条件だ。参入への刺激になったことは間違いない」と分析。津市の年間の日照時間は二千九十九時間で県庁所在地としては全国十一位と高く、採算性でも優位だ。
これらを裏付けるように事業者が相次いで参入を表明している。三交不動産(津市)は伊勢市内の遊休地十ヘクタールを活用して五メガワットの発電施設を建設する。来年夏にも運用を始める計画で、中部電力へ年間二億三千万円の売電額を見込む。担当者は「採算性も良いし、遊休地を活用できる利点もある。地域の理解が条件だが、今後も他の土地でも検討したい」と話す。災害時に電力を地域に供給することも考えているという。
いなべ市に民有地三・三ヘクタールを借りて、メガソーラーを建設するマルカ(名古屋市中川区)は衣料メーカー。現地に別会社を設立し、事業に臨む。林力会長は「衣料だけでは将来的に不安。政府が後押ししてくれる制度で安心だ。安定的な収入が見込める」と異業種への参入の狙いを語る。
県は九月下旬からホームページに公募中の候補地リストを掲載した。遊休地を貸し、有効利用を図りたい企業や団体と、参入したい企業とをつなぐのが狙い。県があらかじめ土地の規制状況などを調べているため「スムーズに事業化できる利点がある」(県エネルギー政策課)といい、現在八カ所を紹介。本年度から地域貢献のための設備を設けた千キロワット以上の発電施設への補助制度も設けている。
県は今年三月に策定した「新エネルギービジョン」で、太陽光など新エネを積極的に導入する方針を示した。担当者は「原子力発電所の事故で状況は一変した。地域でも電力を生みだし、エネルギー創出に貢献したい。行政としてもそのけん引役を果たしたい」と意気込む。
(記事:中日新聞)

