
小学校の屋根貸します 太陽光発電に21棟 刈谷市
刈谷市は20日、太陽光発電用に小学校の屋上・屋根を企業に貸す「屋根貸し」を始めると発表した。震災などで電力会社からの電力供給がストップした際に学校で太陽光発電の電気を使える条件も付ける。市は自前で設置するより屋根貸しで災害時電源を確保する方がコストなどのメリットが大きいと判断した。学校や公共施設の屋根貸しは全国で広がりつつあるが、「県内では聞いたことがない」(市担当者)という。
市内全15小学校の35棟のうち、屋上や屋根の面積が狭い建物や古い校舎を除いた21棟(1万4710平方メートル)を対象に、最長20年間、企業に貸す。企業に企画提案書を募り、審査したうえで、来年1月に学校ごとに企業を決める。
企業は来年度中に太陽光パネルなどを設置して管理し、通常時は全量を電力会社に売る。今年7月に再生可能エネルギーを電力会社が長期固定価格で全量買い取る制度がスタートし、太陽光は1キロ・ワット時=42円と高めにつけられているが、買い取り価格は来年度に見直される。今年度に屋根貸しすることで、買い取り価格が高めの年度内に駆け込み参入をしたい企業ニーズにも合うと市はみている。
同市では、災害時の電源確保などを目的に2010年度に全6中学校の屋上に太陽光発電設備を自前で設置し、電気は中学校で使用している。小学校についても来年度から5年計画で自前で設置を進める予定だったが、屋根貸しにニーズがあるとみて計画を転換した。
これにより、市は太陽光パネルなど1校当たり約3400万円の初期投資とその後の維持管理費を出さずに災害時電源を確保できる。対象の屋上すべてで契約できれば、年間約100万円が入るメリットもある。
(記事:読売新聞)