
太陽電池メーカー、収益が堅調-“買い取り制度”で需要旺盛
太陽電池メーカーの収益が堅調だ。海外メーカーの相次ぐ参入による価格下落で収益悪化が予想されたものの、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度による旺盛な需要に支えられている。2012年度には、京セラは太陽電池事業が営業黒字に転換する見通し。三菱電機は工場の稼働率向上で黒字を見込む。パナソニックは価格下落の影響で減益の可能性があるが黒字を確保する。
京セラの太陽電池事業は12年度上期(4―9月)に営業黒字に転換した。メガソーラー(大規模太陽光発電所)など売電を目的とした産業用途への販売拡大が貢献した。12年度下期(10月―13年3月)に売り上げ計上される産業用途の案件も多く、通期でも黒字になる見通しだ。
三菱電機も買い取り制度の恩恵を受けて黒字を見込む。12年度の国内出荷量は前年度比2倍に増加し、そのうち産業用途が同5倍以上増える。現在、年産能力27万キロワット規模の生産設備がフル稼働状態。海外も含めた12年度の販売量は前年度実績の19万キロワットを大きく上回る。11年度の収益は公表していないが、利益は上向く見込み。
パナソニックも同60万キロワットの生産設備がフル稼働。同社の太陽電池事業は11年度も黒字だった。12年度はパネル価格下落の影響を受けるが、黒字を確保する。
唯一、太陽電池事業の業績を公表しているシャープは、12年度の売上高は同2・7%増の2300億円だが、営業損益は赤字の見通し。海外市場の縮小に苦戦している。下期は国内で品ぞろえの拡充やメガソーラーへの営業を強化して収益改善を狙う。
太陽光発電協会(東京都港区)によると、12年7―9月期の太陽電池の総出荷量は前年同期比10・5%増加。輸入品の比率は32・3%まで上昇し、初めて30%を突破。需要拡大の追い風がある一方でパネル価格は下がっている。国内メーカーには収益を確保できる体質づくりが求められる。
(記事:朝日新聞)