
『世界の太陽光発電システム関連市場の調査結果』発表
株式会社富士経済は、今年4月から10月にかけて、太陽電池の製造装置及び製造工程で使用される消耗品の世界市場に加え、固定価格買取制度(FIT)導入で関心が高まる国内の太陽光発電システム関連市場を調査するとともに、主要参入企業の分析を行い、「2012年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望 下巻」にまとめた。
この報告書は、変化の激しい太陽光発電関連ビジネスの俯瞰を目的に太陽電池に関連する市場を2回に分けて調査したもので、世界の太陽電池(セル・モジュール)および部材/原料、周辺機器の技術・市場の動向については、「2012年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望 上巻」にまとめ、結果は2012年9月14日に発表している。
【調査結果の概要】
太陽光発電システムの導入量は拡大傾向が見込まれ、出力ベースでは太陽電池の販売量は増加が予想されるものの、需要量を大幅に上回る太陽電池が生産されていることから、供給過剰で太陽電池価格が下落し、2012年は金額ベースでは市場縮小が見込まれる。
太陽電池の生産量の動向は、採用部材・原料、消耗品、製造装置の需要に影響を与える。2011年の半ばから供給過剰感が顕在化してきた太陽電池は、生産調整へと転じ、2012年は緩やかには戻りつつも、依然として厳しい状況が続いている。2012年の部材・原料・消耗品・製造装置の市場は縮小が見込まれる。
一方、パワーコンディショナを主とする周辺機器の市場は、太陽光発電システムの導入量に連動する。受注生産が多く、在庫過多による単価下落は少なく、将来はアフターメンテナンスによる更新需要も見込まれることから、今後も安定して市場拡大すると予測される。
●製造装置
設備投資は太陽電池メーカーの景況感や今後の見通しを示す指標ともなるが、新たな設備投資はほぼ止まっている。受注残はあるものの出荷延期などが起こっており消化の時期が見えていない。設備投資の殆どは主流の結晶シリコン太陽電池向けだが、太陽電池市況の悪化で、2012年は縮小が見込まれる。一方、市況が悪い中で、例外も存在する。薄膜シリコン太陽電池では一部中国企業が大型設備投資を計画している。また、生産性の高い量産化手法が確立されたCI(G)S太陽電池も、台湾・韓国・米国の一部企業が大型設備投資を予定する。CI(G)S太陽電池はスペック改善余地が大きく、将来的に結晶シリコン太陽電池にも対抗できる改善見通しを自信に強気の姿勢が見受けられる。
全体として市況が回復してくる時期は一部例外を除き、2012年後半の米国や中国、韓国、日本などでの、選挙後/体制変更後が予測される。世界景気が不安定さを増す中で、次期政権による景気刺激策が期待される。太陽光発電を含めた環境産業は景気刺激策の格好の投資先となるはずであり、2013年には好転するシナリオが期待される。
●製造装置用消耗品
2010年、2011年前半に需要が逼迫したため、太陽電池メーカーが消耗品の在庫確保に動いた。しかし2011年半ば頃から太陽電池の需要が低迷しており、2012年は確保した在庫の消化を待つ状況となっている。需要低迷により単価も下落しており、消耗品合計の市場は縮小が予測される。
(記事:富士経済)