フィールド設置の基礎について
太陽光発電に関するPVN24独自のニュースを特集記事として配信!
2012年7月に固定価格買取制度がスタートして以来、住宅用市場をはるかに上回る速度で拡大している産業用太陽光発電市場。全国の自治体や異業種を含む様々な企業が産業用太陽光発電事業に参入しています。
NEDOの提供する「大規模太陽光発電システム導入手引書」を始め、様々な研究機関が産業用太陽光発電システム導入に関する資料を発表していますが、その多くは太陽光発電システムや電気的な設計、各種法令の手続きに関する部分に重点を置いたものが多く、架台を設置する「基礎」及び「基礎工法」について言及された資料はあまり多くありません。
基礎は、建築物や構造物を支え、垂直荷重、水平荷重を効果的に地盤へと伝える役割を担う重要な構造部分です。太陽光発電システムにおける基礎や架台の強度は、発電事業そのものの安定性、継続性に影響してくるため、適切な設計を行わなければなりません。
ここでは、フィールド設置で用いる基礎工法(コンクリート基礎)について、JIS(日本工業規格)のC8955「太陽電池アレイ用支持物設計標準」を参考に、具体的な数値を交えつつ解説していきます。
フィールド設置における基礎の考え方
建築分野において用いられる基礎は、どのような構造にすれば地盤沈下が起こらないか、水平荷重に耐えられるかということを念頭に設計されますが、地上設置型の太陽光発電システムに用いられる基礎は、どの程度の重量(杭工法の場合は引き抜き強度)があれば強風に耐えられるか、ということを念頭に設計されます。
フィールド設置で用いられる基礎工法は、大きく3種類に分類することが出来ます。それぞれにメリット・デメリットがありますが、事業予算や工期に沿ったものが選択される傾向にあります。
布基礎
根切りしたスペースに捨てコンクリートを流し込み、その上に型枠と鉄筋を拵えてコンクリートを流し込むという工法で、現在のところ最も採用されている工法と言えるでしょう。
コスト面では非常に有利と言えますが、重量を稼ぎにくいというデメリットがあります。実際に、現在施工されている布基礎の多くが重量不足であるとされており、基準風速の低い地域や建築物などが多く存在している地域においては問題ないものの、開けっぴろげな土地では、今後非常に強い台風が到来した際に損害が出るのではないかと懸念されています。
ベタ基礎
架台から掛かる荷重をコンクリート基礎全体で支え、上からの荷重を平均的に地面に伝える工法。布基礎が線と線で支える基礎であるとすると、ベタ基礎は面で支える基礎と言えるでしょう。
型枠さえ仕込んでしまえば、後はコンクリートを流し込むだけなので、非常に施工性に優れた工法と言えますが、その分必要となるコンクリートが多くなるため、事業予算との兼ね合いが重要となってきます。予算に余裕がある場合は、ベタ基礎を選択することが安心と言えるでしょう。
置き石基礎
コンクリートブロックやサイコロブロックといったコンクリート二次製品にアンカーを取り付け、そこに架台を設置するというもの。
既成品にアンカーボルトや架台を取り付けるだけで基礎として利用出来るようになるため、工期やコストの大幅な削減を実現することが出来ます。ただし、これも布基礎と同様重量を稼ぐことが難しく、また重量が十分である場合でも輸送が負担になることが多々あるため、慎重な検討が必要となります。